なるほどこばなし ~夏至


6月に入り、湿気を含んだ空気が肌にまとわりつくような、梅雨らしい日が続いております。
例年通りとはいえ、あと1か月ほどこのような天候が続くと思うと、少々気分も滅入ってしまいますね。
そんな中、暦の上では夏の折り返しともいえる「夏至」がやってきます。
一年のうちで最も昼が長くなる日として知られるこの節気。
今回は、そんな24節気のひとつ「夏至」について、少し調べてみました。
 

【夏至とは?】


ご存じの方も多いかと思いますが、「夏至(げし)」は、一年の中で最も昼の時間が長くなる日のことです。
太陽が最も高い位置を通り、日の出から日の入りまでが最も長くなるのが特徴です。
夏至の日は、天文学的に決まっていて、毎年6月21日か22日のいずれかになります。
この日を境に、少しずつ昼の時間が短くなり、季節は本格的な夏に向かっていきます。
「夏至」という言葉は、中国の古代の暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」に由来しており、季節の移ろいを知るために使われてきました。
日本でもこの暦をもとに、長い間季節の目安として親しまれています。

 

【何故?夏至が一番暑い頃ではない】


地面や海、そして空気は、それぞれ温まりやすさに違いがあります。これは「比熱(ひねつ)」という性質によるもので、特に空気は太陽の光を直接受けて温まるのではなく、地面や海などが温まったあと、その熱を受け取ることで間接的に温かくなります。このため、太陽のエネルギーが空気に届くにはタイムラグが生じ、夏至=最も暑い日とはならないのです。

これを日常の例で言えば、「ヤカンでお湯を沸かす」様子がわかりやすいでしょう。たとえヤカンをコンロの最強火にかけたとしても、その瞬間に中のお湯が最も熱くなるわけではありません。火にかけている間、ヤカンの中では加熱される熱量が、外に逃げていく熱量を上回っているため、温度はじわじわと上がり続けるのです。

火力を途中で少し弱めたとしても、熱の収支がプラスであれば、温度はしばらく上がり続けます。
つまり、「最も熱が加わった瞬間が、最も温かい瞬間とは限らない」というわけです。

この現象は、冬至にもあてはまります。1年で最も昼が短くなるのは12月下旬の冬至ですが、最も寒さを感じるのはその1か月後、1月中旬から下旬にかけてです。

自然の中での「時間差の法則」。それが、夏至の頃にまだ本格的な暑さを感じない理由なのです。

 

【夏至の食べ物】

冬 瓜

冬の瓜と書きますですが、旬は夏です。 そのまま冷暗所で保存しておけば、冬までもつことから、漢字では「冬瓜」と記すようになったと言われています。



タ コ

この時期は田植えの時期で、半夏生は田植えを終わらせる目安とされていました。田植えを終わらせた半夏生の日に「タコの8本の足の様に稲が八方に根を張るように。」と豊作を祈願しタコを食したことが由来のようです。


新小麦の焼き餅

関東では田植えと同時に小麦を作る農家が多いことから、夏至に小麦を使った焼き餅を作るようになり、「お餅のように粘り強く物事を行うように」という意味を込めていたようです。


半夏生餅

奈良盆地では、「半夏生」の頃に小麦の収穫が終わり、田植えも一段落することから、「半夏生餅」を作り、ひと休みする。 「半夏生餅」はつぶし小麦と、もち米を混ぜてついた餅のことで「小麦餅」ともいう。 田植えが終わり、田の神を送り感謝する行事である早苗饗(さなぶり)に食べられることから、「さなぶり餅」ともいわれているそうです。


焼き鯖

夏至から数えて11日目の 半夏生 はんげしょう の日に、串刺しの丸焼きさばを食べます。 夏バテ防止策として、藩主が焼さばを食べることを奨励した、あるいは、焼さばを配ったことにより始まったと言われています。 風習の始まりは定かでないですが、江戸時代後期には定着していたことが古文書からわかっています。


無花果(いちじく)田楽

栄養が豊富に含まれている無花果を半分に切って田楽味噌をかけて食べるのですが、田楽は豊作を祈る踊りが由来とされており、健康と豊作への願いを込めて食べられるようになったようです。



水無月(和菓子)

白い外郎生地に甘く煮た小豆をのせて蒸し、三角形に切り分けた和菓子です。 京都発祥の和菓子で、6月30日に行われる「夏越の祓」に1年の残り半分の無病息災を祈り食べられる風習があり、6月を表す「水無月」という名がついたようです。。


ミョウガ

6月に旬を迎える食材なので、夏至に食べると栄養満点です。 半夏生餅と同じように、田植えのねぎらいの意味で食べられているようです。

【梅雨の時期でも6月は水無月】


 
6月といえば、梅雨真っ只中で雨の日が続く季節。それにもかかわらず、なぜこの月を「水が無い月」と書いて「水無月(みなづき)」と呼ぶのか、不思議に思ったことはありませんか?

実はこの「無」は、「ない」という意味ではなく、古語における助詞の「の」にあたるもの。「水無月」はつまり「水の月」という意味になります。
田植えを終え、田んぼに水を張るこの時期は、水が大いに必要とされる季節。そこから「水の月」と呼ばれるようになったとされています。

同じように、10月の「神無月(かんなづき)」も、実際には「神がいない月」ではなく、「神の月」という意味だといわれています。ちなみに出雲地方では、全国の神々が出雲に集まるという言い伝えから「神在月(かみありづき)」と呼ばれているのも有名ですね。

日本の旧暦の月名には、風情と深い意味が込められているのだと、あらためて感じさせられます。


さて、夏至を迎えると、いよいよ本格的な夏が始まります。日差しはますます強くなり、暑さに気持ちまでぐったりしてしまいそうになる季節。
そんな時こそ、爽やかな風を感じられる一枚のカレンダーで、心に小さなリゾートを届けてみませんか?

今回ご紹介するカレンダー2点は、青い海を優雅に進む帆船と、楽しげに跳ねるイルカたちの姿が描かれた、見ているだけで気分が晴れやかになるカレンダーです。眺めるたびに、まるで潮風を肌で感じるような開放感をもたらしてくれます。

 

【SG-299 シャッターメモ 世界の帆船】


優美な帆船の姿 — 大海原を駆ける、風をまとった世界の帆船シリーズ。時を超え、世界を旅するような気分を味わえる、ロマンあふれる一冊です。
●絵柄の下には、晴雨表や暦情報が付いた使いやすいメモ欄を掲載

1-2月/ロイヤリスト
3-4月/ゲオルグ・スターゲ
5-6月/ファン・セバスチャン・ド・エルカノ
7-8月/海王丸
9-10月/クレオウラ
11-12月/ロイヤル・クリッパー

 

【NK-42 ブルーファンタジー】


心に広がる、海の幻想世界へ。
マリンアートの先駆者として世界中にファンを持つ、ロバート・リン・ネルソン。彼が描き出すのは、どこか夢の中のような、深く、静かで、美しい海の情景です。
そんなネルソンの作品を、2ヶ月ごとに1枚、全6作品楽しめるカレンダーが今年も登場。ページをめくるたびに、まるで海の中を旅しているかのような気分に。
イルカや熱帯魚、広がる珊瑚礁の風景は、見る人の心をそっと癒してくれます。インテリアとしても美しく、飾るだけで空間に物語が生まれる一冊です。
忙しい日常の中に、ふと訪れる「静かな海の時間」。そんなひとときを、このカレンダーでぜひ体感してください。

 

【まとめ】

夏至とは、一年のうちで最も昼の時間が長い日。
太陽の恵みをたっぷりと感じながらも、実際の暑さはこれからが本番です。
地域によっては「夏至にはタコを食べる」といった風習もあり、無病息災を願いながら季節の節目を感じる大切な時期でもあります。
そんな夏の始まりに、心を晴れやかにしてくれるアイテムとして、帆船とロバート・リン・ネルソンの幻想的な海の世界を描いたアートカレンダーをご紹介しました。
自然の移ろいとともに、暮らしの中にも小さな季節の演出を。
日々の予定を記すカレンダーだからこそ、心まで潤すような一枚を選んでみてはいかがでしょうか。